02 結婚で変わった働き方
連載「はたらき方をさがして」の2回目です。
(01 はじまり はこちら)
今回は、結婚を機に仕事を辞めたこと、その先で待っていた「仕事がない日々」のお話です。
📖 このお話は
・結婚と引越しで、仕事から離れた日
・引越し先で待っていた「仕事がない」という現実
・声をかけてくれた人と、人の縁に救われるまで
結婚と引越しで、仕事から離れた日
外資系企業の財務部門での仕事は、大変ながらも、とても充実していました。
会計処理をチェックする側から実務処理をする側になり、同じ取引でも、逆の立場になると見え方がこんなに違うのかと驚くことも多く、興味深い様々な仕事に従事できたことは、私にとってとても大きな学びでした。
やりがいを感じながら楽しく働けていて、これから経験していきたい仕事も、まだたくさんありました。
そんな中で人とのご縁がつながり、引越しを伴う結婚が決まりました。
会社や仕事が嫌になったわけではなかったので、たくさん悩みました。
それでも、人生の大切な岐路です。
通える距離ではなかったこともあり、契約を更新せずに退職を決めました。
「向こうに行っても、また経理の仕事を探せばいい」このときは、まだそんなふうに考えていました。
引越し先で待っていたのは、「仕事がない」という現実
ところが、引越した先で待っていたのは、世の中全体が急激な不景気に飲み込まれていくタイミングでした。
経理の求人どころか、パートの募集すら見つからない。
ハローワークに通っても、状況は変わりませんでした。
少しでも情報が欲しくて、新聞も契約して地元の求人広告を手に入れました。
けれど、広告そのものの量もさることながら、求人欄の圧倒的な少なさに驚いたことを、いまでも覚えています。
キャリアも、人とのつながりも途切れて
知らない土地で、仕事がなく、知り合いもいない。
それまで積み上げてきたキャリアが途切れただけでなく、夫が仕事に行っている日中は、誰かと話すこともなくなりました。
終電まで仕事をしていた結婚前の忙しい毎日から一転、することがほとんどなく、時間をもてあます日々。
心がついていかなくなっていたんだな、といま振り返って思います。
手の込んだ料理を作ってみたり、近くを散歩したり。
スーパーの店員さんと交わすわずかな会話が、うれしく感じられたりもしました。
あまりに人と話さなさすぎて、独り言が増えたのもこの頃です。
いま振り返ると、あの頃がいちばん、心がしぼんでいた時期だったと思います。
「少しの時間からでも」と声をかけてくれた人
そんな日々に変化をくれたのは、人の縁でした。
税理士試験の受験時代からの知人が、会計事務所を開いていて、「こんなご時世だけど、少しの時間でもよければ、一緒に仕事をしよう」と声をかけてくれたのです。
週に数日、短い時間からのスタート。
やっぱり私は、経理や会計の仕事が好きなんだな、と思えた瞬間でした。
仕事の時間はわずかでも、久しぶりに「誰かの役に立てている」と感じられたとき、胸のなかが、充実感でいっぱいになりました。
人の縁に、救われた
少ない時間から始めた仕事は、景気の回復とともに少しずつ増えていき、やがて顧問先を訪問する仕事も任せてもらえるようになりました。
01で書いた「実務で積み上げてきたもの」が、ゼロになったと思っていた場所で、もう一度私を支えてくれたのです。
- その時点でのキャリアは途切れても、積み上げた経験や知識は消えない。
- 人生の転機となるきっかけは、人との縁。
このふたつは、いまでも私の大切な支えです。
あのころのわたしを支えてくれたのは、大きな出来事ではなく、日々の「人との関わり」でした。
スーパーの店員さんとの何気ないやりとり。
用事で外に出たときに交わす、ほんの少しの会話。
仕事もつながりも途切れていた時期は、社会から切り離されたような心細さがありました。
そんななかで、誰かと言葉を交わす時間は、「わたしはここにいていい」と思わせてくれたように思います。
人の縁というと特別なもののように聞こえますが、案外、こうした小さな関わりの積み重ねなのかもしれません。
それゆえ、家にいる時間が長く社会との関わりが少なくなっている方に伝わればうれしいです。
ささいな会話でも、一言二言のやり取りだけでも、外の世界とつながる時間は思っている以上に心の栄養になります。
次回は、夫の転勤と出産で「また振り出し」に戻った話を書きました。
▶ 連載の続き:
・01 キャリアのはじまり 〜実務の道を選ぶまで〜
・03 転勤、出産、また振り出しへ 👈次回はこちら
・04 「おかえり」が言える働き方
・総集編 「おかえり」が言える働き方にたどり着くまで
🕯 いまトンネルの中にいるあなたへ
知らない土地で、ひとりで立ち止まっているような日々を、私も過ごしていました。
いま動けなくても、あなたがこれまで積み上げてきたものは、消えていません。
今日も一日、おつかれさまでした。
