絵本は、いつか自分で選ぶ本につながる 〜『二番目の悪者』から続いた話〜

はじめに

読み聞かせをしていると、ふと思うことはありませんか。

毎晩繰り返している読み聞かせに、意味があるのだろうか。
この時間は、この子の中に残るのだろうか。

私も、同じことを思いながら絵本を読んでいました。
その答えが返ってきたのではと感じたのは、ずいぶんあとのことでした。

📌 この記事でわかること

  • 小さいころに読んだ絵本が、何年もあとにつながった話
  • ランキングに載っていない絵本の見つけ方
  • すぐに伝わらなくても、読んでよかったと思えた理由
  • 子どもが自分で本を選ぶようになったときに起きたこと

小さいころに読んだ『二番目の悪者』

わが家で読んでいた絵本のひとつに、『二番目の悪者』があります。

この絵本は、おすすめランキングで見つけたものではありません。
上位に並ぶ有名な絵本のほかにも、きっと上質な絵本があるはずだと思って、レビューをひとつずつ読みながら探しました。
そうして出会った一冊です。

お話は、自信にみちた金のたてがみのライオンが、心優しい銀のたてがみのライオンの存在をおそれ、あるうわさを流すところから始まります。
そのうわさは、だれにも確かめられないまま広がっていきます。

この絵本が問いかけるのは、うわさを流した者だけが悪いのかということです。
聞いた噂をそのまま人に伝えた人は、何番目の悪者なのか。

正直に言うと、小さい子には難しい内容です。
人の内面に踏み込む話なので、私は何度も、やさしい言葉に置きかえながら読みました。
すぐには届かないだろうなと感じたので、そのたびごとに、ていねいに説明を足しました。

そのかわり、絵をながめている時間はとても長い絵本でした。
挿絵がきれいで、ページをめくらずにいる時間が続くこともあります。
私は急がずに、その時間につきあいました。

そこまでして読んでいたのには、理由があります。

うわさ話で人を判断したり、されたりする場面は、大人にも子どもにもあります。
そのことで傷つく人がいます。
少なくとも自分はそうなりたくないと、私は思ってきました。

子どもにも、自分軸で物事を判断できる人になってほしい。
この絵本のエッセンスだけは、どうしても伝えたいという強い気持ちがありました。
何度もていねいに説明したのは、その気持ちがあったからだと思います。

何年かたって、家にあった一冊

それから何年かして、あるとき家に一冊の本がありました。

『世界は「 」で満ちている』という小説です。
私が買ったものでも、すすめたものでもありません。
子どもが自分で選んできた本でした。

タイトルのかぎかっこの中は、空白になっています。
章が進むごとに、その空白に入る言葉が変わっていく物語です。
「愛」「孤独」「毒」「無知」「君」。

二冊が、同じことを言っていた

その本がどんな話なのかを、子どもが説明してくれました。

聞いているうちに、私はふと思い当たりました。
それって、小さいころに読んだ本にもなかった?
そう尋ねると、子どもも気がついたようでした。

うわさを、確かめないまま信じてしまうこと。
まわりがそう言っているから、そうなのだと思ってしまうこと。

どちらの本も、他人の評価ではなく、自分自身で考えることの大切さを説いていました。
絵本と、児童文学。
かたちはまったく違うのに、真ん中にあるものが同じでした。

読み聞かせは、選ぶ力の布石だったのかもしれない

うれしかったことが、ふたつあります。

ひとつは、親が読んであげたいと思って選んだ絵本と同じことを説いている本を、大きくなった子どもが自分自身で選んだこと。
もうひとつは、絵本と児童文学が一本の線でつながったことです。

そして、あとからもうひとつ気づきました。
この二冊を結びつけられたのは、私があの絵本を読み聞かせていたからです。
何度も説明しながら読んだあの時間がなければ、「それ、前にもなかった?」とは聞けませんでした。

読み聞かせは、その場で伝わらなくても大丈夫なのかもしれません。
すぐに理解できなくても、絵をながめているだけの日があっても。
その時間は、子どもがいつか自分で本を選ぶときの、布石になっていくのだと思います。

おわりに

絵本を選ぶとき、少し難しいかなと迷うことがあります。
わが家の場合、その一冊の続きが何年もあとに返ってきました。

いま読んでいる絵本が、いつどんなかたちで戻ってくるかは分かりません。
それでも、その時間はむだではないと、いまは思っています。

▶ あわせて読みたい:将来の学力は10才までの読書量できまるわが家のお気に入り絵本10選〜6才編〜絵本10選〜3,4才編〜絵本10選〜4,5才編〜

こんな方におすすめ

✅ 読み聞かせに意味があるのか、迷っている方
✅ 少し難しい絵本を読むかどうか迷っている方
✅ 子どもが自分で本を選ぶ時期に入りつつある方

🕯 いまトンネルの中にいるあなたへ

今日読んだ絵本が、子どもの心に残っていくか不安になることもあります。
でも、何年かあとに、思いがけないかたちで返ってくることがあります。
今日も一日、おつかれさまでした。

子どもが自分で本を選ぶようになるまでの時間は、思っていたより短いものでした。
そのあいだそばにいたくて、わたしは家で働く道をさがしました。
いま仕事から離れている方にも、こんな道があるとお伝えできたら嬉しいです。

「おかえり」が言える働き方にたどり着くまで

【参考文献】『二番目の悪者』林木林・作/庄野ナホコ・絵(小さい書房)
『世界は「 」で満ちている』櫻いいよ・著/げみ・装画(PHP研究所)

この記事を書いた人
いちてぃ

いちてぃ

結婚、転勤、出産。立ち止まるたびに働き方を探しつづけて、いまは子どもに「おかえり」が言える在宅の経理の仕事をしています。

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